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笠盛パーク

糸のようにしなやかに強く──挑戦し続ける老舗の新しい拠点「笠盛パーク」を訪ねて

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桐生ファッションウィーク期間

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1877年、帯の織物業として創業した老舗、株式会社 笠盛。

長い歴史の中で、染めや編み、独自技術によるレースの開発など、変化し挑戦し続けてきた企業だ。


現在の事業の中心は刺繍業で、国内外のブランドやメーカーとのものづくりのほか、ファクトリーブランド「000(トリプル・オゥ)」を展開し、糸をつかった繊細な風合いをもつアクセサリーの企画・製造を行っている。


2020年には、「000(トリプル・オゥ)」の新しい生産拠点として「笠盛パーク」がオープン。そこで桐生ファッショウィーク2022の期間中に行われたオープンファクトリーを、同社広報の野村さんに案内してもらった。




妥協せず、挑戦を重ね続けるものづくり


工場内に入ると、大きな刺繍機が整然と並んでいる。刺繍機の下には紙が敷かれており、立体的な刺繍が縫い付けられていて、順番に歩くとアクセサリーの製造工程が分かるようになっている。縫い終わった後は紙をお湯に溶かすことで、アクセサリーが完成するそうだ。





この日、工程を見せて頂いたのは立体的な造形が人気のスフィアシリーズ。糸を重ねることで球体にするという独自技術は試行錯誤のもとで生み出され、今も日々、改善を繰り返しているのだという。


「一番最初に出来上がったものと、現在のものとでは、随分形が違うんです。今もまだ開発途中みたいな感じなんですよ。職人が毎日見て、もっと綺麗な状態を目指してデータの打ち方を少しずつ変えています」と野村さん。


このスフィアシリーズに限らず、笠盛では、問題点があったらプロジェクトチームが立ち上がり、3ヶ月程度という短期間で解決を目指すそうだ。


「会長が、挑戦している間は失敗はない、ということをよくおっしゃるんです。たとえ失敗しても、改良、改善を重ねてチャレンジしていくというのは笠盛らしいかなと思います」




創業以来、変化を恐れず挑戦し続けてきた精神は、この会社の象徴だ。


「000(トリプル・オゥ)」は、2010年にブランドが立ち上がって以降、今や会社の売上の4割を担うまでに成長した。挑戦し続ける笠盛のカルチャーが源泉となり、そのオリジナリティや独自技術の開発に繋がっているのだろう。




生産拠点から、試験や発信もできる複合拠点へ

「笠盛パーク」のオープンファクトリーは、現在では、桐生ファッションウィークの間だけ開催されている。しかし、ゆくゆくは常設で見学ができるように準備中だという。


「ものづくりが先細りしていくなかで、次世代の方々にものづくりの楽しさを知ってもらいたいですね。工場が常に開いていることで、安心感も感じていただけると思います。」


オープンファクトリーでは、生産工程を見学できるほか、ワークショップや、併設されたショップで買い物もできる。「000(トリプル・オゥ)」ブランドのプロダクトだけではなく、同社の手がけた様々な作品も展示されており、100年を超えるものづくりの歴史も感じられる。


工場の入り口には、アンケートBOXが置かれていた。


「お客さんの意見をもらって、それを開発にいかす。そんなパイロット・ファクトリー(試験工場)のような構想も考えているんです」と野村さんは教えてくれた。


妥協をゆるさない職人気質がありながら、変化することにも柔軟で、高い熱量がある。併設されたショップに置かれたアクセサリーの繊細さやしなやかさは、工場やそこで働く人々の雰囲気にも感じられた。


地産地消のクラフトという響きは、ものすごく魅力的だ。取材させて頂いた日、自分や家族のお土産に、ネックレスやイヤリング、マスクを購入した。


しかしそれ以上に、「笠盛パーク」に来て、そこにいる人やものに触れたらきっと、ものづくりに興味を持つに違いない、そう思う場所だった。






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